エンドウ シノブ(画家)
このページ最初に紹介したいアーティストはエンドウシノブさん。
シノブさんとは、実は私がオーストラリア・メルボルンに留学中に知り合ったのです。初めてお会いした時からアーティスト!!という雰囲気が醸し出されていたシノブさん。
話してみると、とても優しく包み込んでくれる温かさを感じる人で、今では私にとってお姉ちゃんのような存在です。
メルボルンで一緒にお茶をしたり、ご飯を食べに行ったりいろいろ話をしたのですが、もうとにかくとても面白い経験をいっぱいしていて、私にとってすごく刺激的な話がいっぱいでした。
シノブさんの描く絵はすごく細かくて繊細!丸や三角がたくさん集まって出来上がっていく絵は、描いてる姿を思わず立ち止まって見たくなるような作品です。
メルボルンでは、バスキング(路上パフォーマンス)を美術館の前でされていましたが、シノブさんの後ろにはいつもたくさんの人たちが立ち止まって、シノブさんの描く姿を見ていました。まさにパフォーマンスでした。
ぜひシノブさんのSNSもチェックして見てください!
そして私がオススメしたいのはシノブさんのブログ!
”絵を描く人のための独学画家のブログ画家エンドウシノブ”
画家を目指す人達に、シノブさんの経験を元にどのように個展を開催するか、絵にタイトルを付ける時のポイントなど。
他にはシノブさん自身のこと、そしていろいろな所を旅してきた中でのエピソードなどが書かれています。
包み隠さず、シノブさんの言葉で素直に表現されているブログは、思わずクスッと笑ってしまい、画家を目指していない人でも楽しく、心が少し前向きになるブログです。
シノブさんの作品、言葉にはメッセージ性があり心打たれるところがあります。きっとシノブさんは、自分にとても素直に生きていて、人生後悔しないように生きようと、いろいろなことにチャレンジして経験を重ねてきているんだなぁと感じます。
自分で経験していることだからこそ、作品にも言葉にも力強さがあり、温かさを感じられるのではないかと思います。
ーー 絵を描くようになって年数はかなり長いのですが、
『画家』と名乗り始めたのはここ最近、渡豪してからです。
絵で食っていける、と確信した時から名乗っています。
画家になろうと思ったきっかけは高校生の時。何日か学校を休まないといけない時に空いた時間を使って、美しくてとても繊細な、エロール・ル・カインの絵本の1ページを模写したのがきっかけでした。
一枚の絵をじっくり描き込むという作業は、元々職人気質でしたので性に合っていてすごくしっくりきました。
その後デパートで観たヨーロッパの画家グスタフ・クリムトの複製画に衝撃を受けて、自分が目指すのは画家だと、その時確信しました。
画家になられたきっかけは何ですか?
エロール・ル・カイン『12人のおどるお姫さま』
あなたの経歴を教えてください
ーー 宮城県仙台市生まれ
物心ついた頃には絵を描いていて、姉たちと一緒に描いたり物を作ったりするのが好きでした。
高校を卒業し、美大に進学したいという気持ちはありましたが、家庭の事情などで地元で就職、初めてのことが多く絵を描くことから少し離れていました。
そんな時に地元の油絵教室から誘われグループ展に出展することになり、そこから個展しないかとギャラリーに誘われて初めて個展を開きました。
そこから全国で行われる展示会や海外のグループ展に出展し、最終的にニューヨークで個展を開くこととなり、3ヶ月間短期留学と合わせて渡米。
自分なりに感じることがたくさんあり、帰国後は上京し、自分で絵をプロモーションができるようにとグラフィックデザインの学校に通いましたが、東京での生活は私の心を不安定にし、自分の居場所を探すように転々としました。
自然に囲まれた場所にいることが、私の心の安定であると感じ、ニュージーランドへ6ヶ月間の一人旅をし、帰りに少しオーストラリアへ寄って帰ろうと思っていましたが、オーストラリアでバスキング(路上パフォーマンス)をしたい!と思い立ってそのまま住み着き現在4年目、今に至ります。
Deep inside me【2020】
今までに一番影響を受けた人は誰ですか?どのように影響を受けましたか?
ーー たくさんいるので難しいですが・・・手塚治虫です。
もちろん手塚治虫の生き方そのものにも影響を受けていますが、幼い私に道徳を教えてくれたのは手塚治虫の漫画でした。
生と死、善と悪、正解と不正解、できることとできないこと。
手塚治虫が描く漫画は人生の良いも悪いもあって、例えば天才と呼ばれるヒーローのような神のような医者も、患者を助けられないことや理不尽なことにぶつかることもある。
患者を助けられなかった時に空に向かって『私は神じゃない』と虚しく叫ぶ。
非現実的な日本の漫画の中で、非現実的でいてとても現実的、人間臭い手塚漫画は、私の人格を少なからず形成してくれました。
それは作品を作る時の考え方にも大きく影響しています。
今までで一番、思い出のある作品は何ですか?
ーー これもたくさんあって悩みますが・・・
一番最初にキャンバスに書いた作品でしょうか。
今とは全く作風も違うし荒くてヘタクソではありますが、今の自分から一番遠い自分の作品で、あの頃の考え方とか性格をこれを見るたび思い出します。
過去の作品はあまり手元に残っていませんが、この作品は実家にまだ残っています。
不思議と思い入れのある作品は手元に残ることが多くて、最終的に安心できる方に購入していただけることが多いです。
この作品もそのひとつで、誰かを待っているのかなぁと思います。
タイトルが偶然にも『待ツ女』です(笑)
作品作りでこだわっていること、心がけている事は何ですか?
ーー 1番のこだわりは『絵に意味を持たせること』です。
もちろんなんとなしに描いたものもありますが、やはり意味の込もっていない絵は愛着もあまりないです。
今まで経験してきた多くのこと、特にマイナスの感情をどうプラスに変えればいいのか。
今現在マイナスな感情に囚われている人に未来を見てほしいというエールのような意味を込めることが多いような気がします。
元々友達や知り合いに人生相談を受けることがなぜか多かったので、自分が誰かに与えられるものを絵にしようと思っています。
Memento【2018】
作品はどのように生まれますか?作品が作られていく過程を教えてください。
ーー 普段から落書きをしているのですが、そこから作品にすることが多いです。
『コレだ!!』と急に思いつくこともありますが、それは大体ボツになることが多いです。
時折負の感情から出来上がることがあって、最初は全て文字で自分の感情を書き出していき、そこに書き散らした言葉に影響を受けて絵を描きます。
自分の不安定の感情は、作業をしていく中で安定してゆき、一歩下がった場所から自分を見つめられる。
線や色ひとつひとつ作り上げていくうちに、なぜコレを描いているのか?という問いに答えられるようになり、あぁ!この作品はこういう意味なんだな、と次第に理解していく。それで最後にその作品の答えをタイトルとして付ける。それで完成になります。
MASK【2019】
これから挑戦したいことはありますか?
ーー私の作風は几帳面で一切の汚れも歪みも許していないため、描くのにとても時間がかかります。
この方法も自分の個性なので気に入っているのですが、もう少し大胆に、感情のままにカラフルに世界観を作り出すような作風にもチャレンジしたいと思っています。
それとバスキングから遠ざかってしまったのでネットで発表の場を設ける、例えばブログやSNSを通して多くの人に作品を見てもらえるような環境を作りたいです。
あとオーストラリアでの個展。この3点が2020年の目標です。
これからの自分自身に期待することは何ですか?
ーーたくさん期待してます(笑)
とにかく作品を多く作ること。そのためにも作風を変えることは大きな一歩でもあるし、とてもワクワクしています。
ニューヨークで開いた個展は至らないことがたくさんあって悔しい想いをしたので、絵自体のクオリティや世界観の作り方ももちろんですが、補助として英語をもっと伸ばして、世界にグイグイ挑めるアーティストになります。
あなたにとって絵を描くということは?
ーー私はあまり自分の奥底の感情を表現することが得意ではないので、それを表現する方法のひとつが絵です。
自分の気持ちを形にする、色彩にする。自分の分身を作る作業のような、そんな感覚で描いているので、もしも私が口達者でありのままの感情をぶつけられるような人格になったとしたら、絵を止めるかもしれません。
そんな日はこないと思いますが・・・